家族の世話担う中学生5% 高校4%、ヤングケアラー
共同通信 きょうだいや家族の世話をする18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の支援に向けた厚生労働省と文部科学省による初の実態調査で、「世話している家族がいる」とした中学生が5・7%(約17人に1人)、高校生が4・1%(約24人に1人)いたことが12日、分かった。クラスに1~2人いる計算で、うち2~3割が父母を世話し、理由は身体障害が多かった。厚労省の担当者は「予想以上に多い」としている。
ヤングケアラーは学業や進路への影響だけでなく、同世代からの孤立を招くと指摘される。世話する中高生の6割超が誰にも相談したことがなく、担当者は「問題が知られておらず、適切な支援につながっていない可能性がある」としている。
両省は福祉サービスにつなぐ仕組みを整理し、5月に相談窓口拡充などの支援策をまとめる。
定時制、通信制高校生への抽出調査も別途実施。世話する生徒の割合が全日制の2倍超となり、深刻な状況が浮かんだ。
昨年12月~今年1月、公立中754校と全日制高249校の2年生を対象にアンケート。中学生5558人、高校生7407人から回答を得た。
世話する生徒に対象を尋ねると、きょうだいと答えた中学生が61・8%、高校生が44・3%。理由は幼いからが7割を占めた。父母を世話する中学生は23・5%、高校生は29・6%。理由は、身体障害が最も多く中学生で20・0%、高校生で15・4%に上った。1~2割の生徒が、高齢や介護が必要な祖父母を世話しているとした。
世話をする頻度は半数弱が「ほぼ毎日」と回答。費やす時間は「一日3時間未満」が最多で、平均は中学生は4・0時間、高校生は3・8時間。7時間以上と答えた生徒も1割いた。半数以上が「特にきつさは感じていない」としたが、1~2割は「精神的にきつい」と答えた。
生徒全体の8割が「ヤングケアラーという言葉を聞いたことがない」と回答。認知度を上げる取り組みも求められる。