深い学びへ問い随所に 新要領対応の教科書検定 

共同通信

 文部科学省は30日、2022年度から主に高校1年生が使う教科書の検定結果を公表した。「主体的、対話的で深い学び」を掲げる新学習指導要領に対応した初の検定。新必修科目では、主権者教育を担う「公共」は議論を重視する内容で、近現代の日本史と世界史を一緒に学ぶ「歴史総合」は双方を関連付ける工夫がなされた。随所に「問い」を設けて話し合いや考察を求める構成が目立ち、資料も多用。ジェンダーやLGBTの記述が増え、新型コロナウイルスも登場した。
 新指導要領は科目を大幅再編。「現代の国語」「言語文化」「歴史総合」「地理総合」「公共」「情報Ⅰ」などを新設し必修とした。25年1月からは新指導要領に対応した大学入学共通テストが始まる。新教科書でどう授業を展開するのか、高校現場は準備を進める。
 「公共」は申請全12点が合格し、安楽死など実社会で議論が分かれるテーマも取り上げた。「歴史総合」は13点のうち1点が不合格で、事項や資料の羅列が続き「構成に重大な欠陥がある」のが理由だった。防災教育に力点を置く「地理総合」は全6点、プログラミングなどを教える「情報Ⅰ」は全12点が合格した。
 主な新科目の1点当たりの平均ページ数を現行科目と比べると、「地理総合」は「地理A」より18・6%増、「公共」は「現代社会」より14・2%増。「国語総合」は「現代の国語」と「言語文化」に分かれ、合わせると30%以上増える。
 工業など専門高校用以外の共通教科は、11教科25科目の248点が合格。1点当たりの平均検定意見数は38・5件、「指導要領に照らして不適切」との意見は計223件だった。教科・科目構成は異なるが、現行指導要領での15年度検定の26・4件を大きく上回った。