五輪式典統括に佐々木氏 華美抑え「団結」重視か 

共同通信

 新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は23日、開閉会式の企画、演出の制作体制を変更し、新たな全体の統括役にクリエーティブディレクターの佐々木宏氏の就任を発表した。
 これまではパラ担当の佐々木氏を含めて7人でチームを構成し、総合統括を狂言師の野村萬斎氏が務めていたが、より迅速に準備を進める必要があると判断。意思決定を佐々木氏に一本化する形とした。野村氏は「断腸の思い」としつつも「7人いる体制では判断に時間がかかる。納得した」と述べた。音楽家の椎名林檎さんら他のメンバーは22日付で退き、野村氏はアドバイザーに就いた。
 東京都内で記者会見した佐々木氏は「何か突破口とか、希望が先に見えるものを表現できれば」と決意を述べ、感染症や世界の情勢を踏まえた式典の在り方を新たに検討する意向を示した。国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)から「分断から団結への流れ」を主要テーマに入れるよう求められていることや、東日本大震災からの復興も引き続き重視する考えも明かした。
 組織委も華美な演出は抑制し、参加者の安全に最大限配慮する方針。簡素化された式典を通じ、どのようなメッセージを世界に発信するかが問われる。