外国客へ「城に泊まろう」 地方の新たな集客要素に

共同通信
白石城で居合道を体験するサンマリノ共和国のマンリオ・カデロ大使(左から3人目)夫妻=2019年9月、宮城県白石市白石城で居合道を体験するサンマリノ共和国のマンリオ・カデロ大使(左から3人目)夫妻=2019年9月、宮城県白石市

 外国人が日本の城に体験宿泊する「城泊(しろはく)」が注目を集めている。1泊100万円近くと高額だが、物珍しさから富裕層を中心に人気を博し宮城、愛媛、長崎で相次いで商品化が計画。今年の東京五輪・パラリンピックに伴うインバウンド(訪日外国人客)増を狙う地方にとって、城が新たな集客コンテンツとなる可能性が出ている。
 「昔の『お殿さま』になった気分で夢みたいだ。良い思い出ができた」。駐日サンマリノ大使のマンリオ・カデロさん(66)は昨年9月、木造の白石城(宮城県白石市)で1泊した後、満足そうに振り返った。城では武将隊に出迎えられ、甲冑や居合道を体験。城内で仙台牛や地域の旬の食材などを使った郷土料理の夕食を取り、天守閣最上部に用意されたエアーベッドで眠った。
 白石市や国土交通省東北運輸局は体験イベントを参考に、2020年度中の商品販売を目指す。同局観光部の栗田利彦さん(57)は「宿泊するのが難しい日本の城に泊まれる特別感を味わってほしい」と魅力を語る。1日1組(2人)限定で、料金は80万~100万円を想定。提供する食事に漆塗りの食器を使用するなど、通常の城にはない特別演出を施すため高額になるという。
 同様の計画は、大洲城(愛媛県大洲市)や平戸城(長崎県平戸市)でも進む。平戸城では今年夏に常設の宿泊施設を開業予定で、1泊100万円程度を見込む。白石城と平戸城の事業を手掛ける株式会社百戦錬磨(仙台市)によると、平戸城でオープン前に企画する無料宿泊体験には昨年12月下旬時点で千人以上の応募があり、うち6割は欧州やアジアからという。