多様性の夏祭りに 豊田で文化プログラム
共同通信
2020年東京五輪・パラリンピックの文化プログラムとして演出家、劇作家の野田秀樹(のだ・ひでき)さんが監修するパフォーマンス企画「東京キャラバン」が、愛知県豊田市で開かれた。指揮を執ったのは振付家、ダンサーの近藤良平(こんどう・りょうへい)さん。500人超の市民が集まり、多様性に富んだ「ゆるゆる」の夏祭りになった。
会場は、愛知高原国定公園の一角、鞍ケ池公園の大きな屋根付き人工芝エリア。この日は猛暑で、日陰の風通しもよい空間に緩いテンポの多国籍音楽が生演奏される中、地元の郷土芸能集団などが音楽や伝統舞踊を繰り広げた。
演じられた郷土芸能「棒の手」は、この地で織田信長が活躍した戦国時代、足軽たちが武術を身に付けたのが起源とされる。保存会メンバーが棒をやりのように振り回し、よける軽快な動作は息の合ったダンスそのもの。多くの自動車工場があり、多国籍の働き手が住む街らしく、ブラジル音楽も根付いているようで、サンバが流れると耳なじみの観客たちが心地よさそうに揺れた。
締めくくりは、出演者も客席も一緒になってのダンスパーティーに。民謡や三味線などの演奏に加え、大きな操り人形も躍動し新旧、国籍、芸能分野などの違いを超えた「文化混交の盆踊り」が実現した。そして終幕。退場する演者に「さようなら」と手を振る観客たちの、名残惜しげな笑顔が印象的だった。
近藤さんは「またみんなでわくわくする文化のために動きだそう、という気持ちを豊田の人たちに残せたのではないか」と話した。