食のもてなしで独自色模索 東京五輪、廃棄物削減も

共同通信
ロンドン五輪の選手村食堂=2012年7月、ロンドン(共同)ロンドン五輪の選手村食堂=2012年7月、ロンドン(共同)

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が、大会中に選手らに提供する食事で独自色を打ち出そうと知恵を絞っている。4年に1度の大舞台で来日する選手の「おもてなし」を第一に考えながら、和食のPRや食品廃棄物の削減を通していかに大会後にレガシー(遺産)を残すか。9月ごろに基本戦略の大枠を取りまとめる方針だ。
 選手村に設けられるビュッフェ形式の食堂は5千席程度を想定。24時間営業で欧州、アジア、アフリカといった世界各地の多彩なメニューを素早く大量に提供しなければならない。12年ロンドン大会ではトータルで約200万食、ピーク時は30分で1万食をさばいたという。過去の大会同様、東京でも調理は専門業者に委託する予定だ。
 政府や地方自治体は和食文化の発信に期待するが、課題もある。組織委は安全性に関する国際規格などの認証を受けた農畜産物を使う計画だが、国内農家の認証取得が進んでおらず、肝心の国産食材が不足する恐れが出ている。3月から5度開かれた組織委の飲食戦略検討会議では復興庁から、東日本大震災の被災地の食材を積極的に使うべきだとの提案もあった。一方、東京電力福島第1原発事故の印象もあり、安全基準をクリアした食材でも、選手によっては抵抗感を持たれる可能性を指摘する声も出た。
 池田信太郎(いけだ・しんたろう)委員は元バドミントン五輪代表の目線から、体調管理に神経を使う競技前の選手は食べ慣れたものを選ぶ傾向が強く「アスリートに食事を提供することと(和食などの)PRは別に考えなければならないのでは」と指摘。「競技が終わった選手を対象に(食堂に)そば打ち体験ができたりするような日本食のPRブースを設けてはどうか」と提案した。
 組織委は、30年までに食品廃棄物の半減を掲げる国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を踏まえ、必要な食材の量の予測に力を入れて、無駄のない調達を進める方針。余った食材についても経済的に恵まれない子どもに食事を振る舞う「子ども食堂」などに提供する案がある。
 食器も過去の大会のような使い捨ての紙皿ではなく、再利用可能なものを使用し、大会後は全国の学校給食などで活用してもらうプランが浮上している。東京都の担当者は「大会で日本の『もったいない』の精神を示すべきだ」と語った。