五輪文化行事、キックオフ 東京と5地域から全国展開
共同通信
「スポーツと文化の融合」を旗印に、2020年東京五輪・パラリンピックへの機運を盛り上げる文化プログラムが10月に始動した。政府は東京に加え、地方の推進拠点に位置付ける静岡、大阪、大分3府県と横浜、新潟両市を中心に、4年間で五輪史上最大となる20万件の催しの全国展開を目指す。日本の多彩な魅力を発信し、地方にも多くの旅行者を呼び込みたい考えだ。
文化行事の実施は五輪憲章で義務付けられ、1964年の東京大会でも歌舞伎上演や日本美術展などが話題を呼んだ。今回は、相撲やアニメなど既に世界に知られた分野に加え、地域の祭りや食文化なども幅広く紹介する内容になりそうだ。
東京都の小池百合子知事は10月7日、日本橋で開いたキックオフ式典で「20年への機運をオールジャパンで盛り上げるには、各地との連携が欠かせない」と全国一体の取り組みを呼び掛けた。
個々の行事は国や地方自治体だけでなく、住民団体や企業も主催できる。大会応援プログラムなどに公認されると、統一ロゴマークが使えるようになり、国のポータルサイトに行事予定が掲載される。東京都は東北6県の祭りを集めた「東北六魂祭パレード」を11月20日に開くのをはじめ、本年度だけで約140件を開催する計画だ。
地方の拠点になる5地域は、文化庁の支援で地域版アーツカウンシル(芸術評議会)を設立。地元文化団体との連携を強め、プログラムの具体化を急いでいる。
大分県は18年に県内で開かれる国民文化祭をプログラムの柱に据え、郷土料理や温泉地などのPRにも力を入れる考え。新潟市は音楽祭や酒蔵見学などを検討している。アーツカウンシルを中心に、世界にアピールできる文化資源の掘り起こしにも取り組んでおり、市担当者は「東京に来た人を呼び込めるよう地域を盛り上げたい」と意気込む。