「マンガでパラスポーツ」(下) ラグ車の迫力を漫画に 肥谷圭介さん  車いすをぶつけ合う激しさから「マーダーボール(殺人球技)」とも呼ばれる車いすラグビーをテーマにした...

共同通信
「見たら絶対面白い。特にロングパスが通った瞬間は最高です」と語る肥谷圭介さん=東京都文京区の講談社「見たら絶対面白い。特にロングパスが通った瞬間は最高です」と語る肥谷圭介さん=東京都文京区の講談社

 車いすをぶつけ合う激しさから「マーダーボール(殺人球技)」とも呼ばれる車いすラグビーをテーマにした漫画「マーダーボール」の作者肥谷圭介さんに、競技の魅力と作品に込めた思いを聞いた。
 肥谷さんは2017年に初めて日本代表の合宿を取材。実際に車いすに乗り、代表選手とのぶつかり合いも体験した。「タックルが許されているのは分かっていたけど、音や衝撃のすごさに、あらためて驚きました」と振り返る。
 一般用よりも軽くて頑丈な競技用車いすは「ラグ車」と呼ばれ、小回りが利くコンパクトな攻撃型と、相手の動きをブロックできるようバンパーが突き出た守備型に分けられる。
 「車いすと言うよりもマシン、それを乗りこなして戦う選手たちが格好良かった。このスポーツは面白い。漫画で世間をあっと言わせようと思っています」と、迫力とスピード感あふれる作画で物語を展開している。

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「マーダーボール」

 車いすラグビーは4人対4人で争い、障害の程度に応じて選手には0・5~3・5の持ち点がある。出場する4人の合計は8点以内。男女混合競技で、漫画の主人公は事故で歩けなくなった女子高生アサリだ。
 「日本代表にも倉橋香衣選手がいます。女子選手は持ち点が0・5点引かれるので、選手編成に幅が出ると期待されています」と解説する。
 激しいぶつかり合いだけでなく、攻撃時間の使い方など緻密な戦略も重要。肥谷さんは「ルールが分からなくても、どちらのチームがどの方向に攻めているかが分かれば楽しめます。会場では2階席から俯瞰で見ると、選手全体の動きが見えやすい。だんだん競技の奥深さも分かってくると思います」と語った。
 「マーダーボール」(講談社)は、単行本全4巻が発売中。