「マンガでパラスポーツ」(中) 義足や技師にも注目  重松成美さん  競技用義足に出合った女子高生が、パラリンピック陸上100メートルに挑戦する姿を描く「ブレードガール...

共同通信
「体験会など、小中学生が義足に触れる機会が増えるといいですね」と語る重松成美さん=東京都文京区の講談社「体験会など、小中学生が義足に触れる機会が増えるといいですね」と語る重松成美さん=東京都文京区の講談社

 競技用義足に出合った女子高生が、パラリンピック陸上100メートルに挑戦する姿を描く「ブレードガール 片脚のランナー」の作者重松成美さんに、この競技の魅力と作品に込めた思いを聞いた。
 重松さんの母は病気の後遺症で障害があり、自身も2017年にがんの手術を経験したことから、「何かを失ったけれど、新たな出合いを通して成長する主人公を描きたい」と考えていた。
 そんな中、東京を中心に活動する障害者スポーツチームを取材。「私が全力で走っても全く追いつけないほど速かった。リハビリからさらに競技へと踏み出したアスリートのエネルギーや魅力を、漫画で伝えたいと思いました」と振り返る。

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「ブレードガール 片脚のランナー」

 スポーツ経験がほとんど無かった重松さんだが、毎週のように取材に通って選手たちと一緒に走っている。「膝関節が残っているかどうかで義足が違うことなど、分からないことだらけでした。体験義足を付けて感じた怖さや、初めて歩けたときの喜びなどを作品に生かしています」
 漫画では競技者だけでなく、義足やそれを開発する技術者にもスポットライトを当てている。「義足はオーダーメード。人それぞれの切断部に合わせて作る技師や、カーボン製の板ばねを作るエンジニアがいて、これはチームスポーツだと実感したんです」と語る。
 さらに「ハンディキャップをサポートする人や道具と一緒に戦う感じが、パラスポーツならではの見どころ」と力説し、「競技用義足は純粋に格好いい。機能美の結晶です」とほほ笑む。
 重松さんは「まずは、自分の限界に挑戦しているアスリートを応援してほしい。そこから義足や技術者にも興味を持つと、パラスポーツの観戦がより楽しくなりますよ」と呼び掛けている。
 単行本2巻まで発売中。