五輪前に中高生記者活躍 新聞作りで文化発掘   2020年東京五輪・パラリンピックの開催に向け、地元の中高生らが地域の文化を発掘し、新聞を作って発...

共同通信
京都新聞記者(右端)から取材のアドバイスを受ける京都府宇治市の高校生たち=京都府宇治市の万福寺京都新聞記者(右端)から取材のアドバイスを受ける京都府宇治市の高校生たち=京都府宇治市の万福寺

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催に向け、地元の中高生らが地域の文化を発掘し、新聞を作って発信する取材会「文化プログラムプレスセンター」が、各地で開かれている。
 全国の自治体などが行う文化プログラムの一環。地元の新聞社などが協力して20年までに47都道府県に広げる予定で、観光振興や地域文化の継承につなげる試みとして期待が高まっている。
 大阪市で行われた「食博覧会・大阪」では2017年5月、地元の私立四天王寺高校の女子生徒3人がプレスセンターの「記者」として取材。広大な会場を駆け回り、岩手の南部鉄器、和食の魅力、日本赤十字の食料支援などについて出展者に真剣な表情で質問した。
 参加生徒の一人は「人見知りで話すのが得意じゃなかったけれど、質問をしたらうれしそうに聞いて、話してくれた」と自信が生まれた様子。
 地域の寺社や祭りなどを観光資源としてPRする文化プログラムでも同年7月、プレスセンターが実施された。取材対象は、京都府宇治市の日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」にちなんだ伝統芸能イベントで、地元の府立高校の生徒6人が参加。京都新聞記者による記事の書き方講習会の後、京舞「茶音頭」をはじめ、落語、長唄を鑑賞し、宇治茶の歴史の説明に熱心にメモを取った。
 終演後には、出演した舞踊家や落語家らを招いて合同記者会見を開催。「伝統芸能を始めた理由は?」「どうしたら若者に関心をもってもらえるのか」などの率直な質問に、名手たちは笑顔で丁寧に受け答え。「故郷のことをもっと学びたくなった」との声が生徒たちから上がっていた。
 国体と全国障害者スポーツ大会が今年開催の愛媛県でも同年5月、子どもによる取材会が開かれた。卓球に似た障害者競技「サウンドテーブルテニス」のリハーサルに合わせ、同競技会場となる同県松前町で地元中学生7人が、愛媛新聞の記者経験者による講習を受け、パソコンを使って新聞を作った。
 生徒たちは、選手へのインタビューで「プレーしていてうれしい瞬間とは?」「応援してくれる人に元気を送ることができた時です」などと質疑応答をするうちに打ち解け、最後は記念撮影し「絶対に応援します!」とがっちり握手。7人それぞれの視点で、障害者スポーツの社会的理解がもっと広がる必要があるとの記事をしたためた。
 このほか、東京五輪公式スポンサーのパナソニックは、文化プログラムを子どもたちが取材し新聞を作る会「キッズプレスセンター」を実施。今後は定期開催する方針で、プレスセンター活動は多様な形で全国的な広がりを見せている。