外国人に花街文化を発信  京都・祇園で、舞妓(まいこ)の京舞など七つの伝統芸能を一度に鑑賞できる文化観光施設「ギオンコーナー...

共同通信
リニューアルした「ギオンコーナー」で京舞を披露する舞妓=京都市リニューアルした「ギオンコーナー」で京舞を披露する舞妓=京都市

 京都・祇園で、舞妓(まいこ)の京舞など七つの伝統芸能を一度に鑑賞できる文化観光施設「ギオンコーナー」(京都市東山区)が改装され、3月にリニューアルオープンした。2020年の東京五輪に向け増え続ける外国人観光客らに、花街と伝統文化に、より親しんでもらうのが狙いだ。
 花街の情緒が感じられ、多くの外国人でにぎわう祇園の花見小路通。四条通から石畳の道を南に進んでいった先に、ギオンコーナーが入る弥栄(やさか)会館がある。
 施設ができたのは前回の東京五輪前の1962年。外国人観光客の誘致が目的だった。今回の改装では、板間にござを敷いていた舞台をひのきに一新し、座席を197席に増やした。約1億7千万円をかけた全面的リニューアルとなった。
 公演は午後6時と午後7時の1日2回で、立ち見が出る日も。11カ国語のパンフレットには簡単な説明しかないが、狂言では大げさなしぐさに笑いが起こる。一番人気は舞妓2人の京舞で、踊りが始まるとカメラやスマートフォンが一斉に舞台に向けられる。
 他に見られるのは、茶道、華道、箏曲、雅楽に文楽。ツアーガイドに案内され訪れた南アフリカ人のジーナット・マフメドさん(32)は「一度に七つの演目を見られるのはとても便利。舞妓の踊りも良かった」と満足げだった。
 改装に合わせ、舞妓の衣装や五花街について12カ国語で詳しく知ることができる携帯端末向けアプリも製作。館内に無料の公衆無線LANも設置している。
 京都市の2011年の外国人宿泊客数は52万人だったが、15年に316万人となり、数年で急増している。コーナーの15年度入場者約8万1千人のうち、約5万2500人が外国人で、過半数を占めた。
 施設を運営する京都伝統伎芸振興財団の福林文孝(ふくばやし・ふみたか)専務理事(61)は「外国人客からは、観光だけでなく日本の文化を体験したいという要望が増えている。コーナーをきっかけに、各花街の踊りの公演にも足を運んでもらえれば」としている。