もてなしを楽しみ学ぶ 10/15-16 東京大茶会(@浜離宮恩賜庭園)

47文P編集部

 天下人の豊臣秀吉が、茶の湯好きなら大名だろうと町人だろうと誰でも参加できる大規模な茶会「大茶湯」を京都・北野で主催したのが1587年10月1日だった。それから4世紀余りを経て、2008年に始まった毎年恒例の「東京大茶会」が10月15日(土)と16日(日)、かつて徳川将軍家の別邸だった東京・汐留の浜離宮恩賜庭園で開かれる。

 ▽わたしたちの茶会
 北野大茶湯で秀吉は、自慢の茶道具を披露し、自らお茶を点(た)てるから、有り合わせの道具持参でみんな集まれとお触れを出した。東京大茶会は「茶道をはじめとした『和の文化』を身近に楽しみましょう」と呼び掛ける。天下人を見てみたい好奇心は満たされないけれど、東京都などの主催で、公金で民主的に営まれるのだから、正真正銘、気兼ねなくの「わたしたちの茶会」。参加しなければ損とさえ思わせる文化プログラムだ。

 秀吉の宝物の代わりに今回披露されるのが、江戸時代の大名庭園と汐留の高層ビル群が織りなす「都会のオアシス」の風景だ。伝統的なものと現代が融合した平成日本らしいこの"現代アート"を、茶室の掛け軸のように眺めつつお茶を堪能できるように、屋外でお茶が振る舞われる野点(のだて)が開催2日間ともそれぞれ12回実施される。野点はこの一般的な形式のほか、高校生の手によるもの、外国人が英語で楽しめるタイプもある。

▽人柄を味わう
 出色の企画が「茶道はじめて体験」だ。初心者向けのワークショップで、2人1組でお茶を点て合い、互いに相手をもてなすという仕立て。目の前の家族や友人、恋人のために点てれば、思いがこもったお茶になる。口にしてみれば、点ててくれた人の個性、人柄の味わいも感じられようというもの。敷居が低く気軽に参加できるわりに、茶の湯の極意もプチ体験させてくれるあたりは、案外に深い。
 20年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定以降、「おもてなし」はすっかり流行語だ。語源を尋ねれば「相手を扱うこと」にたどりつく「もてなし(持て成し)」の真意、心を見失わないために、東京大茶会は大いに意義がありそうだ。そもそも「茶の湯」という言葉には相手、あなた(YOU)が含まれていることでもあるし。
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 東京大茶会 2016年10月15日(土)、16日(日)開催。会場は東京・浜離宮恩賜庭園。野点や茶道はじめて体験への参加料は1回300円で、このほかに浜離宮恩賜庭園の入園料300円(65歳以上は150円、小学生以下と都内在住・在学中学生は無料)が必要。
 問い合わせは事務局、電話03(3533)8199。
 ホームページはhttp://tokyo-grand-tea-ceremony.jp